2011 週刊文春 7/28号

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週刊文春 2011年7月28日号

文春図書館 活字まわり
「世界の全ての記憶」 植島啓司 7

 一九八〇年といえば雑誌の黄金時代で、日本だけではなく海外の雑誌記事なども一般によく紹介されていた。八八年の『プレイボーイ』(アメリカ版)に「いったい悪って何?」という記事が載っていたが、それによると、「売春」は204項目の犯罪のなかで174位、つまり、だれからもあまり悪いことだとは思われていないようだった。
 個人が楽しみでやっていることにあまり干渉しないというのがアメリカ流の個人主義で、ストリップもカジノもスワッピングもマリフアナも好きでやっているなら、そんなに目くじら立てるほどのことではないとされていたのである。ちなみに175位は「スーパーで『大』のタマゴを『特大』のなかに混ぜて売る」で、176位は「ワイセツないたずら電話」だった。
 同じ時期の『ナショナル・エンクワイアラー』には、ぼくが大好きだったハリウッド・スター、ウォーレン・ベイティのインタビューが載っている。
 なにもぼくは独身にこだわるわけじゃないけど、女についてはW・C・フィールズがいった言葉に共感するね。女たちは象と同じさ。見てるのにはいいが、所有したいとは思わないよ。
 彼とナタリー・ウッド主演の「草原の輝き」(六一年)は、ぼくが高校生のときに封切られ、もっとも大きな影響を受けた映画のひとつ。その後、「俺たちに明日はない」「レッズ」などヒット作も多く、さらに私生活ではハリウッドきってのプレイボーイとして隆盛をきわめたものだったが、その数年後(九二年)女優アネット・ベニングとのあいだに女児が生まれ、同年結婚し、多くのファンをがっかりさせたのだった。
 それにしても、当時の雑誌をめくり返すと、どのページもユーモアにあふれていて、いまよりずっと寛大な空気を感じられるのは、やはり時代の違いということなのだろうか。

 


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