Tag Archives: 世界の全ての記憶

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2013 週刊文春 8/29号(「世界の全ての記憶」最終回)

週刊文春 2013年8月29日号 文春図書館 活字まわり 「世界の全ての記憶」 植島啓司 30(最終回) Q. 今、会社で私は女性社員にセクハラをしてます。セクハラはそんなにいけないことでしょうか?私にしてみればコミュニケーションの一環なのですが・・・・・。A. 正解だね、ハハハッ!セクハラっていうのは相手に訴えられなきゃセクハラじゃないからね。訴えられたときにはじめて「あっ、…   » 続きを読む

2013 週刊文春 7/18号

週刊文春 2013年7月18日号 文春図書館 活字まわり 「世界の全ての記憶」 植島啓司 29 「暦の上ではディセンバー/ でもハートはサバイバー♪」(作詞:宮藤官九郎・作曲:大友良英他) このところ仕事をしながらつい鼻歌でNHK朝ドラ「あまちゃん」の挿入歌「暦の上ではディセンバー」を口ずさんでいることに気がつく。これまでの長い人生を振り返っても連ドラとはまったく無縁だった。と…   » 続きを読む

2013 週刊文春 6/20号

週刊文春 2013年6月20日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 28  ここしばらくのあいだモーツァルトの手紙を読んでいたら、次のような借金を依頼する手紙の一節に出会った。 昨日はとても軽やかな調子だったのに、今日はまたひどく気分がすぐれません。ひと晩中、苦しくて眠れませんでした。昨日さんざん歩いて汗かいたので、知らないうちに風邪をひいたようです。私のこ…   » 続きを読む

2013 週刊文春 5/23号

週刊文春 2013年5月23日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 27  一九九六年のこと、サルが特定の行為をしているときに活性化するニューロンを調べていたら、同じ行為を実験者がしているのを目にしたときにも、サルの同じ部位のニューロンが活性化することが偶然わかった。つまり、実際に行為とかかわっている時もいない時も、脳の中では「経験を共有」できているというこ…   » 続きを読む

2013 週刊文春 4/11号

週刊文春 2013年4月11日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 26  このところ、40代女子と飲む機会が多い。話していて圧倒的におもしろく、時間が経つのを忘れてしまう。その彼女らだが、ほとんどが年下のカレと付き合っている。これまでの男女関係と逆になっている。男たちも、このところ若い女の子をかわいがるよりも、自分を支えてくれる安心感のある女性を求める傾向…   » 続きを読む

2013 週刊文春 3/14号

週刊文春 2013年3月14日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 25  昨晩もまた、みんなで飲みながら朝までダンスして過ごしてしまった。隣の女にキスしたり、一緒に踊っている女の腰を強く抱きしめたりしながら。こんなこといつまで続くんだろう。やめたいと思ったらやめればいいだけのこと、どうにでもなれって思えるうちはまだOKなんだろう。カサノヴァも回想録で次のよ…   » 続きを読む

2013 週刊文春 2/14号

週刊文春 2013年2月14日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 24 「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも訪ねてご覧よ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ」(カズオ・イシグロ『日の名残り』)  先週まで英国コーンウォール地方の西の果てセントアイヴ…   » 続きを読む

2013 週刊文春 1/17号

週刊文春 2013年1月17日 新春特別号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 23  麻雀のプロは、勝ちを積み重ねた人種ではない。負けて、負けて、ひたすら負けてきた者たちなのである。おのずと、身にまとう空気のようなものが変わってくる。どれだけ強かろうと、どれだけ最善を求めようと、ときには交通事故のように不測の死を遂げる。彼らはそれを知り抜いている。だから、あ…   » 続きを読む

2012 週刊文春 11/29号

週刊文春 2012年11月29日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 22  エマはやさしい言葉と、レオンの魂をとろけさせるキスを心得ていた。奥深くかくされていて、ほとんど精神的といってよいまでになっているこうしたみだらさを、エマはどこでおぼえたのだろうか? エマ(ボヴァリー夫人)は、さえない町医者のシャルルと結婚したのだが、退屈な毎日に耐え切れず、不倫へと…   » 続きを読む

2012 週刊文春 11/1号

週刊文春 2012年11月1日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 21 「女は嘘つきだが、人の嘘は嫌う」 いまは昔と比べたらなんでも信じられないくらい安く買える時代である。しかし、先週のことだが、レンタルビデオ店でDVDを四枚借りて、千円札を出し、八百五十円のお釣りをもらった時には、さすがに何かの間違いだと思った。「いえ、それで間違いありません」と店員はき…   » 続きを読む

2012 週刊文春 10/4号

週刊文春 2012年10月4日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 20  「あの若いのは帰ったのか」と八造がきいた、「おい、帰ったかってきいてるんだぞ」 女は荒い息をしながら、「こんなときに、そんなこと、きかないでよ」と途切れとぎれに云った、「もっと身をいれてくれてもいいでしょ」 山本周五郎といえば、セックスの場面描写をあまり好まない作家として知られている…   » 続きを読む

2012 週刊文春 9/6号

週刊文春 2012年9月6日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 19 「春三月縊り残され花に舞ふ」大杉栄 近くのビデオ屋まで蜷川実花監督『さくらん』(二〇〇七年)を探しにいって、なんとなく吉田喜重監督『エロス+虐殺』(一九七〇年)を借りて帰ってきてしまった。よくあることで、だいたい目的としたものより、たまたま偶然その近くにあったものを選んだほうが役立つこと…   » 続きを読む

2012 週刊文春 7/26号

週刊文春 2012年7月26日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 18 あるときクレアがたずねた。「スコーピー、海がなつかしくならない?」老人は簡単になんのためらいもなく答えた。「わしは毎晩夢のなかで海へいくんだよ」 ロレンス・ダレル『アレクサンドリア四重奏Ⅰ ジュスティーヌ』 一年間で二百日は旅を続けている。以前は海外が多かったけれど、ここ数年は国内をく…   » 続きを読む

2012 週刊文春 6/28号

週刊文春 2012年6月28日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 17  人間の小さなことがらに対する敏感さと大きなことがらに対する無感覚とは、奇妙な入れ替わりを示している。 パスカル『パンセ』 ぼくのマンションはやや広めのワンルームで、ベッドと本しか置いていない。しかも、かれこれ六、七年は経つのに、ほとんどベランダに出たこともない。そんなある日、ふと窓を…   » 続きを読む

2012 週刊文春 5/31号

週刊文春 2012年5月31日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 16  先日、阪急電車に乗っていたときのことである。隣の席に若くてふっくらとした女性が座ったのだけれど、やや窮屈な具合になり、お尻がくっついてしまったのだが、彼女にはあまり意に介する様子が見られなかった。しばしば起こることだけれど、改めて女の子にとってはどうなんだろうかと思ったのだった。もし…   » 続きを読む

2012 週刊文春 4/19号

週刊文春 2012年4月19日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 15  社会科学の分野で話題となり賛否両論を巻き起こした古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』に、次の一節がある。たとえば、ユニクロとZARAでベーシックなアイテムを揃え、H&Mで流行を押さえた服を着て、マクドナルドでランチとコーヒー、友達とくだらない話を三時間、家ではYoutubeを…   » 続きを読む

2012 週刊文春 3/22号

週刊文春 2012年3月22日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 14  ゲイであることを公表しているポップスターのジョージ・マイケルは、自分の持つ特殊な才能について聞かれたときに、こう答えた。「君にはわからないよ。スーパースターをつくる何か特別なものがあるわけじゃない。むしろ、何かが失われているんだ。」(クライブ・ブロムホール『幼児化するヒト』) 週末、…   » 続きを読む

2012 週刊文春 2/23号

週刊文春 2012年2月23日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 13  北大路魯山人さんも「舌鼓を打ちながら、うまいうまいと絶叫し続けるところに、おのずと健康はつくられ、栄養効果は上がる。」と言うてはるやろ。 長友啓典「死なない練習」 このところ、よく自分でごはんを炊いている。一年三六五日外食だった時代が三〇年以上続いたことから考えると、自分でも信じられ…   » 続きを読む

2012 週刊文春 1/26号

週刊文春 2012年1月26日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 12  ちょっと不潔に聞こえるかもしれないが、必死に仕事をしているときにはシャワーを浴びたり風呂に入ったりするのは邪魔でしかない。ぼくの場合ほとんど着替えさえしないことが多い。適当に食事したり清潔に気をつけたりしながら仕事なんかできない。 そもそも清潔さとは何か。古代ローマでは、「美しさと清…   » 続きを読む

2011 週刊文春 12/15号

週刊文春 2011年12月15日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 11  先日亡くなったスティーブ・ジョブズについては数多くの本が出版されているが、なんといっても心をうつのは二〇〇五年六月のスタンフォード大学の卒業式で行なった祝辞に尽きるだろう。一般に。最後のフレーズ「ハングリーであれ、愚か者であれ」でよく知られているが、それよりむしろ、多くの人を前にし…   » 続きを読む

2011 週刊文春 11/10号

週刊文春 2011年11月10日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 10  フランスの女性ジャーナリスト、アニエス・ジアールが書いた『エロティック・ジャポン』がおもしろい。外国人、それも女性から見た日本のエロティック・カルチャーのルポルタージュというわけだから、おもしろくないはずがない。どれもこれもおもしろいのだが、彼女は、日本ではまったくおかしなことに「…   » 続きを読む

2011 週刊文春 10/13号

週刊文春 2011年10月13日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 9  あなたはどんなときに他人に嫉妬を感じるだろうか。フランスの女優のジャンヌ・モローは、M・シャプサルによる「嫉妬」にまつわるインタビューで、どんな時に男に嫉妬を感じるかと聞かれて次のように答えている。 以前、わたしが愛していた男性が、たしかドイツとオーストリアを旅行して帰ってきたとき、…   » 続きを読む

2011 週刊文春 9/15号

週刊文春 2011年9月15日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 8  「最近おもしろい小説をよんだだけど」とある有名作家の夫人が電話してきたことがあった。どうやらフランスで話題になった本の翻訳が出たところだったらしい。 当時つきあっていた二十代のグラマーな女の子と会ったときにその本のことをしゃべると、「わたし、すごく読みたい」と言う。「で、タイトルは?」…   » 続きを読む

2011 週刊文春 7/28号

週刊文春 2011年7月28日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 7  一九八〇年といえば雑誌の黄金時代で、日本だけではなく海外の雑誌記事なども一般によく紹介されていた。八八年の『プレイボーイ』(アメリカ版)に「いったい悪って何?」という記事が載っていたが、それによると、「売春」は204項目の犯罪のなかで174位、つまり、だれからもあまり悪いことだとは思わ…   » 続きを読む

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