フラウ 2月11日号(No. 9)
特集=エレガンス自分発想
株式会社講談社
1992年2月11日発行
P11
エレガンスの定義
植島啓司
「ある友人がニューヨークから帰ってきてみると、パリの家は手のなかにつかめそうだと話した。君たちのパリは人間の寸法に合わせて作られているから美しい、と彼は付け加えた。僕たちの音楽は、人間の寸法に合わせて作らなければいけない」こう書いたのはジャン・コクトーである。
たしかに美しいものは人間の寸法に合わされている。衣裳が美しいのも、それがまるごとそのままで、人間を連想させるからだ。僕らはおそらく自分たちに似たものしか愛せないのだろう。
さらにコクトーは、エリック・サティの音楽について論じながら、そのなかで…..(つづく)