Category Archives: Magazine
雑誌等への連載・寄稿

2012 週刊文春 9/6号

週刊文春 2012年9月6日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 19 「春三月縊り残され花に舞ふ」大杉栄 近くのビデオ屋まで蜷川実花監督『さくらん』(二〇〇七年)を探しにいって、なんとなく吉田喜重監督『エロス+虐殺』(一九七〇年)を借りて帰ってきてしまった。よくあることで、だいたい目的としたものより、たまたま偶然その近くにあったものを選んだほうが役立つこと…   » 続きを読む

『魔術的イマジネーション ~ 超自然への幻想』(TH series)

トーキングヘッズ叢書(TH series)No.51有限会社アトリエサード2012年8月11日P60- 69植島啓司 インタビュー神が降りてきた場所 ― 聖地が秘める原初のチカラ取材・文: 相馬俊樹 今年春、集英社新書より「日本の聖地ベスト100」という本が出版された。植島啓司が「聖地の想像力 ― なぜ人は聖地をめざすのか」に続いて上梓した聖地論だ。聖地とはいったいどのような場…   » 続きを読む

2012 週刊文春 7/26号

週刊文春 2012年7月26日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 18 あるときクレアがたずねた。「スコーピー、海がなつかしくならない?」老人は簡単になんのためらいもなく答えた。「わしは毎晩夢のなかで海へいくんだよ」 ロレンス・ダレル『アレクサンドリア四重奏Ⅰ ジュスティーヌ』 一年間で二百日は旅を続けている。以前は海外が多かったけれど、ここ数年は国内をく…   » 続きを読む

2012 週刊文春 6/28号

週刊文春 2012年6月28日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 17  人間の小さなことがらに対する敏感さと大きなことがらに対する無感覚とは、奇妙な入れ替わりを示している。 パスカル『パンセ』 ぼくのマンションはやや広めのワンルームで、ベッドと本しか置いていない。しかも、かれこれ六、七年は経つのに、ほとんどベランダに出たこともない。そんなある日、ふと窓を…   » 続きを読む

2012 文學界 7月号

文學界 平成二十四年七月号株式会社文藝春秋2012年6月7日P159 Author’s Eyes甘い生活 植島啓司  なんだか遊んでばかりいると、ろくなことを考えない。もう60代も半ばにさしかかるというのに、週末となれば女の子たちを呼んで毎週のようにパーティを開いている。それも普通ではない。フェリーニの「甘い生活」のように乱脈を極めている。世間では倹約とか質素とか助…   » 続きを読む

2012 週刊文春 5/31号

週刊文春 2012年5月31日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 16  先日、阪急電車に乗っていたときのことである。隣の席に若くてふっくらとした女性が座ったのだけれど、やや窮屈な具合になり、お尻がくっついてしまったのだが、彼女にはあまり意に介する様子が見られなかった。しばしば起こることだけれど、改めて女の子にとってはどうなんだろうかと思ったのだった。もし…   » 続きを読む

2012 週刊朝日 5/18号

週刊朝日 2012年5月18日号 P107 週刊図書館「書いたひと」 植島啓司聖地は五感を解放する場ですときには命がけの聖地探訪『日本の聖地ベスト100』(集英社新書 800円)  事務所近くの恵比寿神社に、颯爽と現れた。「ここは小さくて古い神社ですが、祭が賑やかで」 社を見る姿に「境内が似合いますね」とカメラマンがいうと、頬をゆるめた。「ライフワークなので」 宗教人類学者の植…   » 続きを読む

2012 CDジャーナル 5月号

『CDジャーナル』2012年05月号 特集= 初音ミク2012年4月20日3月の階梯~天使のための3つのステップ

2012 週刊文春 4/19号

週刊文春 2012年4月19日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 15  社会科学の分野で話題となり賛否両論を巻き起こした古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』に、次の一節がある。たとえば、ユニクロとZARAでベーシックなアイテムを揃え、H&Mで流行を押さえた服を着て、マクドナルドでランチとコーヒー、友達とくだらない話を三時間、家ではYoutubeを…   » 続きを読む

2012 週刊文春 3/22号

週刊文春 2012年3月22日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 14  ゲイであることを公表しているポップスターのジョージ・マイケルは、自分の持つ特殊な才能について聞かれたときに、こう答えた。「君にはわからないよ。スーパースターをつくる何か特別なものがあるわけじゃない。むしろ、何かが失われているんだ。」(クライブ・ブロムホール『幼児化するヒト』) 週末、…   » 続きを読む

2012 週刊文春 2/23号

週刊文春 2012年2月23日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 13  北大路魯山人さんも「舌鼓を打ちながら、うまいうまいと絶叫し続けるところに、おのずと健康はつくられ、栄養効果は上がる。」と言うてはるやろ。 長友啓典「死なない練習」 このところ、よく自分でごはんを炊いている。一年三六五日外食だった時代が三〇年以上続いたことから考えると、自分でも信じられ…   » 続きを読む

2012 週刊文春 1/26号

週刊文春 2012年1月26日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 12  ちょっと不潔に聞こえるかもしれないが、必死に仕事をしているときにはシャワーを浴びたり風呂に入ったりするのは邪魔でしかない。ぼくの場合ほとんど着替えさえしないことが多い。適当に食事したり清潔に気をつけたりしながら仕事なんかできない。 そもそも清潔さとは何か。古代ローマでは、「美しさと清…   » 続きを読む

2011 週刊文春 12/15号

週刊文春 2011年12月15日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 11  先日亡くなったスティーブ・ジョブズについては数多くの本が出版されているが、なんといっても心をうつのは二〇〇五年六月のスタンフォード大学の卒業式で行なった祝辞に尽きるだろう。一般に。最後のフレーズ「ハングリーであれ、愚か者であれ」でよく知られているが、それよりむしろ、多くの人を前にし…   » 続きを読む

2012 kotoba 冬号

[集英社クオータリー] コトバ第6号 kotoba 2012年冬号 特集=男と女、死ぬまで恋したい。株式会社集英社 2011年12月6日P56- 59 なぜ人には愛人が必要か「一夫一婦制」「貞節」― これまで、伝統的な道徳観念にしばられてきた男と女は、はたして幸せだったのだろうか?離婚率が増加する現在、これまでの倫理観はすでに破綻しているのではないだろうか?人間が本当の意味で幸…   » 続きを読む

2011 週刊文春 11/10号

週刊文春 2011年11月10日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 10  フランスの女性ジャーナリスト、アニエス・ジアールが書いた『エロティック・ジャポン』がおもしろい。外国人、それも女性から見た日本のエロティック・カルチャーのルポルタージュというわけだから、おもしろくないはずがない。どれもこれもおもしろいのだが、彼女は、日本ではまったくおかしなことに「…   » 続きを読む

2011 週刊文春 10/13号

週刊文春 2011年10月13日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 9  あなたはどんなときに他人に嫉妬を感じるだろうか。フランスの女優のジャンヌ・モローは、M・シャプサルによる「嫉妬」にまつわるインタビューで、どんな時に男に嫉妬を感じるかと聞かれて次のように答えている。 以前、わたしが愛していた男性が、たしかドイツとオーストリアを旅行して帰ってきたとき、…   » 続きを読む

2011 週刊文春 9/15号

週刊文春 2011年9月15日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 8  「最近おもしろい小説をよんだだけど」とある有名作家の夫人が電話してきたことがあった。どうやらフランスで話題になった本の翻訳が出たところだったらしい。 当時つきあっていた二十代のグラマーな女の子と会ったときにその本のことをしゃべると、「わたし、すごく読みたい」と言う。「で、タイトルは?」…   » 続きを読む

2011 en-taxi Vol.33

en-taxi ODAIBA MOOKVol. 33 Summer 2011特集=マイ・リトルプレス、思い出の小出版社、雑誌 株式会社扶桑社2011年7月30日発行P38- 41植島啓司「名編集者・中野幹隆との出会い」  ぼくが大学生だった一九六〇年代後半から七〇年代にかけては雑誌の黄金時代で、それからの十年間に、例を見ないほど多くの雑誌が創刊されたのだった。まだ大学に入ったば…   » 続きを読む

2011 週刊文春 7/28号

週刊文春 2011年7月28日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 7  一九八〇年といえば雑誌の黄金時代で、日本だけではなく海外の雑誌記事なども一般によく紹介されていた。八八年の『プレイボーイ』(アメリカ版)に「いったい悪って何?」という記事が載っていたが、それによると、「売春」は204項目の犯罪のなかで174位、つまり、だれからもあまり悪いことだとは思わ…   » 続きを読む

2011 週刊文春 6/30号

週刊文春 2011年6月30日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 6  かつて室生寺の奥の聖域「龍穴」の近くをさまよっていた時、突然目の前に鹿が現われたことがあった。その鹿は不思議そうな表情を浮かべてこちらを見つめており、ぼくのほうも金縛りにあったように動くことができなかった。わずか30秒くらいだったのに、ずいぶん長い時間が経過したような気がした。鹿はそっ…   » 続きを読む

2011 週刊文春 6/2号

週刊文春 2011年6月2日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 5  このところ震災があったり、津波がきたり、原発がメルトダウンしたりして、やたらに死が身近なものに思えるようになったけれど、なぜか自分の身が危ないという実感はない。一方で、そうした不幸を一歩下がって見ている自分がいるのだ。 ボクは前に、「家庭から死人を出すというのは、たしかに不幸なことではあ…   » 続きを読む

2011 週刊文春 4/21号

週刊文春 2011年4月21日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 4  三、四年前に出た『バカには絶対解けないナゾナゾ』という本の中に次のようなナゾナゾがあった。 いつも仕事帰りに同僚や部下を飲みに誘っていた僧は? すぐに答えを書くのはちょっとはばかられるのだが、この際仕方がない。答えは「道鏡」。「どう?今日」というわけ。たしかにバカには絶対解けないが、解…   » 続きを読む

2011 週刊文春 3/24号

週刊文春 2011年3月24日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 3 「私をお捜しですか?」「楽しみたいの」「誰と?」「気に入った人となら誰でも」「なんてことだ!」伯爵は思わずぞっとして叫んだ。「身を滅ぼしますぞ」   ボネ&トックヴィル『図説 不倫の歴史』より これは道徳的に退廃した18世紀フランス社交界での会話なのだけれど、当時の貴婦人たちの道徳心のな…   » 続きを読む

2011 週刊文春 2/24号

週刊文春 2011年2月24日号 文春図書館 活字まわり「世界の全ての記憶」 植島啓司 2 人はみな一生を待って過ごす。生きるために待ち、死ぬために待つ。トイレットペーパーを買うために並んで待つ。金をもらうために並んで待つ。金がなけりゃ、並ぶ列はもっと長くなる。眠るために待ち、目ざめるために待つ。結婚するために待ち、離婚するために待つ。雨が降るのを待ち雨が止むのを待つ。食べるた…   » 続きを読む