男の隠れ家 6月号
特集=日本の「聖地」を往く
株式会社グローバルプラネット
2010年6月27日発行(2010年4月27日発売)
P22- 29
三重~和歌山県
原初の神々が籠もる地、熊野
案内人: 植島啓司(うえしま・けいじ)
中世には「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど爆発的に流行し、現在でもなお人々を魅了し続ける聖地「熊野」。『古事記』や『日本書紀』の成立よりはるか以前の原初の信仰の形を今に残す熊野を、宗教人類学者・植島啓司氏が案内する。
文: 望月聖子 撮影: 安藤青太
「熊野の魅力を一言で表すなら、信仰の一番古い形がそのまま残っていることですね」。そう語るのは、日本のみならず世界中の聖地をフィールドワークする宗教人類学者の植島啓司さんだ。昨春『世界遺産 神々の眠る「熊野」を歩く』を上梓。斬新な切り口と分かりやすい語り口で、聖地「熊野」に潜む謎に迫った著書は、多くの読者から支持を得ている。その植島さんに、今回、熊野の魅力に迫るべく案内してもらった。
そもそも「熊野」とは、明治維新の廃藩置県で分割される以前の紀伊国牟婁郡を指し、三重・和歌山・奈良にまたがる広い地域の古称で…..(つづく)