1992 BRUTUS 8/1号

BRUTUS 8月1日号(No. 277)

特集=ヴァーチャル・エロス 未来セイキの快感考察。
株式会社マガジンハウス
1992年8月1日発行(7月15日発売)

P12- 15
全性感帯シティ論。
対談 伊藤俊治&植島啓司

メディアテクノロジーが増殖し、情報が跳梁する都市は性感帯を身に纏った。
全性感帯都市をエンハンスする見者の声。

(伊藤)リチャード・コールダーの『リリム』という小説に「未来のイヴ」のヴィジョンとして、ブロンズ色の粘液の袋のような女が出てきます。肉を喪失した、ぶよぶよ震える生のジェリーのような存在で、中に金属とかプラスチック、宝石が詰まっている。それを読んで僕は、神戸でやったイベントを思い出しました。

(植島)『ディヴィナ・コメディア』?

(伊藤)植島さんも体験しましたよね。巨大な水槽に生のジェリーを流し込み、空間全体を照明装置で一種のシンクロエナジャイザーのようにし、被験者が白い防護服だけを纏ってジェリーの中にフローティングする。

(植島)死の体験シミュレーションだといってましたね。

(伊藤)でも、あれは快楽装置ですよね。僕は、ああいうのが「未来のイヴ」の形式じゃないかなと思いました。
…..(つづく)

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