週刊文春 2013年5月23日号
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「世界の全ての記憶」 植島啓司 27
一九九六年のこと、サルが特定の行為をしているときに活性化するニューロンを調べていたら、同じ行為を実験者がしているのを目にしたときにも、サルの同じ部位のニューロンが活性化することが偶然わかった。つまり、実際に行為とかかわっている時もいない時も、脳の中では「経験を共有」できているということである。これはパルマ大学のジャコモ・リゾラッティ教授らの発見で、いまや「ミラーニューロン」(共感細胞)として注目を集めている。…..(つづく)